結論から言うと、数百部までの少部数印刷は、版を作るオフセット印刷より、版を作らないCSI印刷のほうが安くなります。目安として、B5判・総300ページ・フルカラーの冊子を100部作る場合、同仕様のオフセット印刷では約160万円かかる試算が、CSI印刷では約20万円(約88%減)になります。逆に部数が増えるほど差は縮まり、1,500部前後でオフセット印刷のほうが安くなるのが境目です。
この記事では、なぜ部数で答えが変わるのかという仕組みから、100部・300部・500部・1,000部の実額、トナー式デジタル印刷との違い、見積もりを安く抑える調整ポイントまで、千代田オフセットの見積もりデータをもとに解説します。
- 100部(B5判・300P・カラー): オフセット約160万円 → CSI約20万円
- オフセットに逆転される部数: 1,500部前後
- CSI印刷の最小ロット: 50部〜(料金表は100部から。50部は正式見積もりで個別にご案内)
- 版代・テスト印刷: ともに0円
少部数で答えが変わる理由|「版代」が固定費か、ゼロか
印刷の総額は、大きく分けると次の2つの式で決まります。
- オフセット印刷: 版代などの初期費用(固定) + 1部あたりの印刷費 × 部数
- CSI印刷: 1部あたりの印刷費 × 部数(初期費用なし)
オフセット印刷は、刷る前に「版」を作る必要があり、その費用は部数に関係なく発生します。1,000部刷れば1部あたりの版代負担は薄まりますが、100部だと1部あたりに重くのしかかります。これが「オフセットは少部数だと割高」と言われる正体です。
CSI印刷(Color Solution Integrated)は、高速輪転インクジェット印刷機と自動製本システムをニアライン化した東洋美術印刷の冊子印刷方式で、デジタルデータから直接印刷するため版そのものがありません。初期費用がないぶん、部数が少なくても単価が跳ね上がらない——ここが少部数で有利になる構造的な理由です。仕組みの詳細はCSI印刷とは?で解説しています。
実額比較①|B5判・300ページ・カラー100部の場合
千代田オフセットが営業資料で示している比較試算です。同じ仕様の冊子を100部作った場合の製造コストを、オフセット印刷とCSI印刷で並べています。
| 印刷方式 | 100部製造時の総額(税抜) | 差 |
|---|---|---|
| オフセット印刷 | 約160万円 | — |
| CSI印刷 | 約20万円 | 約88%減 |
試算条件: B5判(257×182mm)/総300P/カラー4/4/表紙アートポスト180k+PP加工/本文上質紙70k/無線綴じ/税抜。出典: 千代田オフセット CSI営業資料(2026年)の比較試算
部数を増やしていくと、オフセット印刷は初期費用が薄まるため総額の伸びが緩やかで、CSI印刷は部数にほぼ比例して増えます。同資料の比較グラフでは、500部で約70万円、1,000部で約130万円(いずれもCSI印刷・概数)と伸び、1,500部前後で両者がほぼ同額になります。つまり「1,500部より少なければCSI、それより多ければオフセットも検討」が、この仕様での分かれ目です。
実額比較②|部数ごとのCSI印刷の見積もり額(本サイトの試算)
「では自分の冊子だといくらか」を知るために、本サイトのお見積もりフォームと同じ計算で、代表的な仕様の部数別金額を出しました。いずれもフルカラー・無線綴じ・本文70k・表紙アートポスト+グロスPPの標準仕様、税別です。
B5判・96ページ・フルカラー
| 部数 | 総額(税別) | 1部あたり |
|---|---|---|
| 100部 | ¥120,050 | 約¥1,201 |
| 200部 | ¥186,450 | 約¥932 |
| 300部 | ¥207,380 | 約¥691 |
| 500部 | ¥271,380 | 約¥543 |
| 1,000部 | ¥452,890 | 約¥453 |
B5判・304ページ・フルカラー
| 部数 | 総額(税別) | 1部あたり |
|---|---|---|
| 100部 | ¥179,380 | 約¥1,794 |
| 300部 | ¥383,380 | 約¥1,278 |
| 500部 | ¥566,050 | 約¥1,132 |
| 1,000部 | ¥1,043,550 | 約¥1,044 |
本サイトの見積もりフォーム(2026年5月改定の料金表)で算出。配送費・カバー等のオプションは含みません。正式なお見積もりは担当者よりご連絡します。
表から読み取れるポイントは2つあります。
- 100部でも1部あたり1,000円台。B5判・96ページのフルカラー冊子が100部で¥120,050、1部あたり約¥1,201です。版代が乗らないため、100部という少部数でもこの水準に収まります。
- 部数を増やしても単価の下がり方は緩やか。300部→1,000部で単価は2〜3割しか下がりません。「まとめて刷って単価を下げる」発想はオフセット印刷のもので、CSI印刷では「必要な分だけ刷って在庫を持たない」ほうが総コストは下がります。
トナー式デジタル印刷(オンデマンド印刷)との違い
「版を作らない」という点では、トナー式のオンデマンド印刷もCSI印刷と同じです。違いは印刷の方式と、その結果としての適した部数帯にあります。
| オフセット印刷 | トナー式デジタル印刷 | CSI印刷 | |
|---|---|---|---|
| 版代 | あり | なし | なし |
| 印刷方式 | 版+インキ | トナー | 高速輪転インクジェット+自動製本 |
| 得意な部数帯 | 大ロット | 数十部程度の極少部数 | 50〜数百部の少部数〜中ロット |
| 入稿データ | CMYK | CMYK(一般的) | RGBのまま入稿可 |
| 製本 | 別工程 | 別工程 | 印刷と製本を一貫ライン化 |
トナー式は1冊単位の極少部数に強い一方、印刷から製本までが別工程になるため、部数が増えるほど手間と単価が重くなりやすい方式です。CSI印刷は印刷と製本を一貫ラインでつないでいるため、50部から数百部の「トナー式では割高、オフセットでは版代が重い」帯にちょうど収まります。両者の使い分けはCSI印刷とオンデマンド印刷の違いで詳しく比較しています。
部数別の目安|どの方式を選ぶべきか
| 部数 | 目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 〜300部 | CSI印刷 | 版代がないぶん総額で大きく有利 |
| 300〜1,000部 | CSI印刷が有利(仕様次第で比較) | 差は縮まるが、改訂の多い冊子は在庫リスクを含めるとCSIが有利 |
| 1,500部〜 | オフセット印刷も検討 | B5・300P・カラーの試算では1,500部前後で総額が逆転 |
逆転する部数は、ページ数やカラー/モノクロの構成で前後します。「自分の仕様ではどこが境目か」は、CSI印刷側の金額を見積もりフォームで出し、手元のオフセット印刷の見積もりと並べるのがいちばん早い方法です。
見積もりを安く抑える4つの調整ポイント
- 部数は「次の改訂までに配る分」で決める。最低ロットは50部ですが、料金表は100部単位のため、50部前後の場合は正式見積もりで金額をご確認ください。
- ページ数は綴じ方の刻みに合わせる。無線綴じは32〜304ページ(8ページ刻み)、中綴じは12〜56ページ(4ページ刻み)が対応範囲です。刻みに合わないページ数は調整が必要になるため、原稿の段階で刻みに合わせておくと無駄が出ません。綴じ方の選び方は製本方法の記事を参照してください。
- 判型はA5・B5・A4の3つから。同じページ数ならA5がもっとも安く、A4がもっとも高くなります(B5判96P・100部で¥120,050に対し、A5判は¥109,990、A4判は¥125,250)。
- 「まとめ刷り」をやめる。改訂が入る冊子は、次の改訂までに配る分だけ刷るほうが、廃棄する在庫の分だけ総コストが下がります。改訂頻度の高い冊子の考え方はこちら。
まとめ|少部数なら「版を作らない」が最も効く
少部数印刷の総額を決めているのは、印刷の速さでも用紙でもなく「版代という固定費があるかどうか」です。数百部までの冊子なら、版を作らないCSI印刷が総額で有利で、B5判・300ページ・カラー100部なら約160万円→約20万円の試算差になります。境目は1,500部前後。自分の冊子の金額は、判型・製本・ページ数・部数の4項目を入力するだけで概算が自動返信で届きますので、まずは数字を手元に置いてから比較してください。
よくある質問(FAQ)
Q. 少部数の冊子印刷はオフセット印刷より安くなりますか?
数百部までなら、版を作らないCSI印刷のほうが安くなります。B5判・総300ページ・カラー100部の試算では、オフセット印刷約160万円に対しCSI印刷は約20万円です。部数が増えるほど差は縮まり、この仕様では1,500部前後で逆転します。
Q. 50部でも注文できますか?料金はどうなりますか?
50部から注文できます。本サイトの自動概算は100部単位の料金表で計算しているため、50部前後の正確な金額は担当者からの正式見積もりでご案内します。
Q. 見積もりに含まれない費用はありますか?
本サイトのフォームで自動返信される概算には、配送費と、カバー・帯などのオプション加工は含まれていません。これらは正式なお見積もりの際に担当者からご案内します。
Q. オフセット印刷の見積もりがすでにあります。どう比較すればよいですか?
同じ判型・ページ数・部数・カラー構成でCSI印刷側の金額を出し、総額で並べてください。本サイトの見積もりフォームは4項目の入力で概算が届きます。改訂の予定がある冊子は、刷り直しや廃棄の分も含めた「次の改訂までの総コスト」で比べると判断を誤りません。
Q. 料金が安いぶん、品質は落ちますか?
安さの理由は版代がないことで、品質を落として安くしているわけではありません。フルカラーの図表もオフセット印刷に迫る仕上がりで、実物はテスト印刷(0円)で事前に確認できます。品質の見え方はCSI印刷の品質で解説しています。
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著者プロフィール
千代田オフセット CSIメディア編集部
東京都に本社を構える千代田オフセット株式会社のメディア編集チーム。オフセット印刷・デジタル印刷の両分野を手がける印刷のプロフェッショナルチームが、印刷に関する専門知識をわかりやすくお届けします。CSI印刷(東洋美術印刷の冊子印刷方式)の公認パートナーとして、出版社・学術機関を中心に導入支援から入稿サポートまで行っています。

